マレー語で「花の中の花」と表されるイランイラン。
その香りは濃厚で特徴的なフローラル。南国や愛といったキーワードを想起させる香りでもあります。よく中枢神経をリラックスさせる効果があると言われていますが、科学的にはリラックス作用ではなく、刺激作用が確認されているので使用目的には注意が必要になります。
イランイラン精油
原産地 フィリピン
科名 バンレイシ科
学名 Cananga odorata(カナンガ オドラタ)
抽出部位 花
抽出方法 水蒸気蒸留法
植物の特徴
フィリピン原産の熱帯地域に育成する植物で、マダガスカル/コモロ諸島/レユニオンが代表的な生産地です。このうちコモロ諸島での生産が世界全生産量の約80%を占めています。本来、高木のイランイランは高さが30m程に生育しますが、精油抽出を目的に栽培されるイランイランは人の背丈程に高さを抑えて栽培されています。花は咲き始めの緑色から成熟するにしたがって、黄色に変化し芳烈な香りを伴ってきます。早朝に芳香が最も強くなるとされ、精油を抽出する場合、花の収穫は早朝に行われすぐに蒸留されます。
グレードにより分類される精油
イランイランは蒸留時間の長さにより品質が等級分けされる精油です。
蒸留の最初に抽出されたものからエクストラ(extra)、次いで1st、2nd、3rdと4つのグレードに分類されます。グレードにより成分や価格が異なりますが、一般的にエクストラから3rdに向かって品質が劣ると言われています。また有機溶剤抽出法によって得られるアブソリュートも市場に出回りますが、こちらは最もフローラル香が強いとされています。
イランイランはこのように等級があるがゆえに、各等級を混ぜ合わせたような偽和が市販されることが少なくありません。そのため、購入の際は表示をしっかりと確認することを含め、信頼のおけるブランドを選択する必要があります。
イランイラン精油の香り
学名がCananga odorata = “素晴らしい香りの花”を意味するように非常に特徴的な香りを有する精油です。一般的に抗不安、鎮静、抗うつなどリラックスを目的としての使用が目立ちます。しかし一方で、その強く特徴的な香りから高揚作用や催淫効果も得られるため、目的に応じた濃度での使用に注意が必要となります。冒頭でも述べましたが、科学的にはリラックス作用ではなく刺激作用が認められているようですが、低濃度で使用することでリラックス作用が得られるようです。
また、好みが別れる香りでもあるため、イランイランの香りが苦手な場合は適切な効果や効能が得られないばかりか、気分や調和を乱すこととなります。初めて使用する場合は、鮮度の良い精油を低濃度で試して、香りの印象を確かめてから使用することをおすすめします(イランイランに関わらず)。
香りのキーワード
フローラル調 香辛料 甘い 複雑 強い 官能的 暖かさ 南国
イランイラン精油の成分
イランイラン精油に含まれている主な成分含有率を下表に示しています。
精油の成分含有率は同じ種類でも抽出方法や経年など様々な要因によって変化します。
下の成分表は「生活の木」イランイラン精油の成分含有率を参照しています。
成分名 | 含有率 |
β-カリオフィレン | 17.22% |
ゲルマクレンD | 13.62% |
α-ファルネセン | 8.68% |
α-ヒュムレン | 2.85% |
リナロール | 10.73% |
ゲラニオール | 2.22% |
ファルネソール | 1.66% |
メチルオパラクレゾール | 3.94% |
オイゲノール | 0.88% |
酢酸ゲラニル | 10.33% |
安息香酸ベンジル | 7.03% |
安息香酸メチル | 2.01% |
サリチル酸メチル | 1.36% |
酢酸ベンジル | 0.98% |
酢酸シンナミル | 0.38% |